(終了)第15回オンラインレクチャー 19世紀前半のパリ国立音楽院におけるピアノとピアニスト

日時:2月26日(土)14時-16時

講師:上田 泰史 先生

後援:一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)


企画者 大迫知佳子より

みなさまお久しぶりです。庭園想楽のレクチャー•シリーズ新章が始動します。

2022年度の庭園想楽演奏会と連動したこのシリーズでも、過去の音楽について考えることを通して、現在の音楽とその未来について議論したいと思っています。

今回は、お馴染みの楽器、ピアノのお話です。

ピアノを作る技術は、19世紀に大きく発展し、楽器の性能も飛躍的に向上しました。これに伴い、パリ国立音楽院のピアノ教育も変革を遂げてゆきます。

ピティナでもお馴染みの音楽学者上田泰史先生をお招きし、その歴史、レッスンの方法、当時の良き演奏の在り方など、さまざまな角度からお話ししていただきます。

音楽院の教授たちは、どのようにピアニストの未来を創ろうとしたのでしょうか。


講座概要

1795年に創設されたパリ国立音楽・朗唱院(現在のCNSMDP)は、国家主導により設置された、国民へ無償音楽教育を旨とする最初の音楽教育機関です。オペラ作曲家および劇場で活躍する歌手・役者およびオーケストラ団員の養成を柱とする一方、19世紀前半、器楽分野では産業革命の影響も受けて演奏技術の専門化が進み、独奏者教育も大きく変化しました。そのような時代にあって、ピアノの教育的な位置づけも変化にさらされました。1800年頃、音楽院でチェンバロに取って代わったピアノは次第に伴奏者教育と明確に分離され、独奏者の養成に特化していきます。一方の伴奏教育は、スコアリーディングのクラスとして「和声・実践伴奏クラス」が担うようになりました。伴奏科にも多く在籍したピアノ科出身者たちは、声楽や他の楽器をピアノ一台で表現するという、この楽器ならではの可能性を追究しました。このレクチャーでは、パリ国立音楽院におけるピアノ教育の歴史と教授たちのメソッドに見られる演奏美学を紐解きながら、第2回で取り扱う「ピアノ編曲」というテーマの背景を描き出してみたいと思います。(上田泰史)


講師:上田 泰史 先生 略歴

金沢市出身。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学修士課程修了後、博士号を取得。2010年から2012まで日本学術振興会特別研究員(DC2)を務める。2010年に渡仏、2013年パリ第4大学音楽学修士号(Master2)取得、2016年、博士号(音楽・音楽学)を審査員満場一致で取得。これまでにカワイ出版より校訂楽譜『アルカン・ピアノ曲集』(2巻,2013年)、書籍『チェルニー30番の秘密--練習曲は進化する』(2017年)、『パリのサロンと音楽家たち』(2018年)などを出版。日本音楽学会、地中海学会会員。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会正会員。東京藝術大学楽理科非常勤助手を経て、2018年4月より2021年3月まで日本学術振興会特別研究員(SPD)。現在は19世紀から20世紀中頃にかけてのパリ国立音楽院試験における演奏曲目や、ピアノ演奏様式について研究中。これまでに、在学中に安宅賞、アカンサス賞受賞、平山郁夫文化芸術賞を受賞、日本学術振興会より育志賞を受ける。


参加方法

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----- 受講に際してのお願い -----

1. 主催者はカメラをオンにして参加する予定ですが、それぞれご事情もあると思いますので、カメラをオンにするのが難しい方はオフでも構いません(音声だけ参加も可)。ただし、お名前は実名表記でお願いいたします。ペンネーム等での参加は認められせん。

当日のイベントの様子は主催者が録画し、後日編集の上配信する予定です。ご参加の際、ご自身の顔などを映したく無い方は、カメラをオフにするなどしてください。

2. 今回はレクチャー形式になりますので、質問のある時以外は、設定を「ミュート」にして頂きますようお願いいたします。レクチャー後半に質疑応答の場を設けますのでその際に、ご発言頂けますようお願いいたします。

3. 会の運営にあたり一般的なマナーをお守り頂ける事を前提としております。暴言や他人を攻撃する行為等、会の運営を妨害していると考えた際には主催者により退室して頂くこともございますのでご了承ください。

庭園想楽

庭園想楽は、日本庭園の精神である不易流行の思想から着想した、未来につながる音楽を創造するために様々な事柄を学ぶための場です。 過去の音楽芸術の研究や、作品の制作、演奏実践等を通して今日の音楽の在り方について問い直していきたいと思います。 また「庭園想楽」に関わる人々が、それぞれの視点から音楽やその他の芸術に関わる美について考え、議論を通して新しい世界を生み出すことを目的としています。