第23回オンラインレクチャー

「《ラプソディ第2番》ウニフェルザール版(1929年)におけるストラヴィンスキーの影響――バルトークの手稿譜にみる批判的継承のストラテジー――」

日時:9月6日(土)20時00分〜22時00分

講師:太田峰夫先生

講座概要

バルトークが1928年に作曲した2曲の《ヴァイオリンとピアノのためのラプソディ》は、一般にコンサート用ショウピースとして理解されることが多い作品です。《第1番》と《第2番》はいずれも村落のヴァイオリン音楽の旋律をもとに構成されており、それぞれが彼の親しい友人で、彼の音楽の熱心な紹介者でもあったヨーゼフ・シゲティ(《第1番》)とゾルターン・セーケイ(《第2番》)に献呈されました。

一見するとこれらの音楽はコンサートでの協演という「実際的な目的」だけを念頭においた作品に見えます。ところが作曲の過程を細かく調べていくと、それらが当時のバルトークの創作上の問題関心とかなりダイレクトに結びつくものでもあったことがわかってきます。

一例として今回は1929年にウニフェルザールから出版された《ラプソディ第2番》の最初のヴァージョンを取り上げ、第2楽章(フリッシュ楽章)のエンディングと「ロシア時代」のストラヴィンスキーの音楽との関係を探っていきます。

民俗音楽編曲という、ともすると軽視されがちなジャンルが20世紀前半の作曲家の語法上の実験にとって持っていた積極的な意義を捉え返す一つのきっかけになれば幸いです。


講師:太田峰夫先生 略歴

京都市立芸術大学音楽学部教授。1969年生まれ。東京大学文学部、同大学院人文科学系研究科修士課程を修了後、ハンガリー政府奨学生として渡欧、リスト音楽院大学、ハンガリー科学アカデミー音楽学研究所バルトーク・アーカイヴで学ぶ。帰国後、2009年に東京大学大学院人文社会系研究科で博士号(文学)を取得。おもな研究領域はハンガリー音楽史、とりわけバルトークの音楽。著書に『バルトーク 音楽のプリミティヴィズム』(慶應義塾大学出版会、2017年)、共訳書に『バルトーク音楽論選』(ちくま学芸文庫、2018年、伊東信宏氏との共訳)、論文に『「ハンガリーのピアノ」をめぐるナショナリズムとオリエンタリズム ──ヨーカイ・モール『年老いる頃にMire megvénülünk』(1865)における打弦楽器ツィンバロムの表象について ──』(『ハルモニア』第53号、2023年)など。2013年より宮城学院女子大学学芸学部准教授、2020年より同教授を経て、2022年より現職。

参加方法

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一般 2,000円


学生 1,000円



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当日のイベントの様子は主催者が録画し、後日編集の上配信する予定です。ご参加の際、ご自身の顔などを映したく無い方は、カメラをオフにするなどしてください。

2. 今回はレクチャー形式になりますので、質問のある時以外は、設定を「ミュート」にして頂きますようお願いいたします。レクチャー後半に質疑応答の場を設けますのでその際に、ご発言頂けますようお願いいたします。

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庭園想楽

庭園想楽は、日本庭園の精神である不易流行の思想から着想した、未来につながる音楽を創造するために様々な事柄を学ぶための場です。 過去の音楽芸術の研究や、作品の制作、演奏実践等を通して今日の音楽の在り方について問い直していきたいと思います。 また「庭園想楽」に関わる人々が、それぞれの視点から音楽やその他の芸術に関わる美について考え、議論を通して新しい世界を生み出すことを目的としています。