第16回オンラインレクチャー 19世紀の作曲家によるピアノ編曲がもつ役割と意味

日時:3月 19日(土)14時 -16時

講師:上田 泰史 先生

講座概要

キリスト教を中心とする西洋音楽史の大部分は、編曲についての歴史といっても過言ではありません。19世紀に独創性という確固たる理念が創作上重要な意味を持つまでは、既存の旋律に基づく作曲、つまり広義での編曲が行われてきました。グレゴリウス聖歌や世俗歌を定旋律とするポリフォニーや、コラールに基づくカンタータやオルガン幻想曲などがその典型です。

 市民が音楽の中心的担い手となる18世紀末から19世紀には家庭用の実用的編曲が普及し、一方では現代の録音メディアのような役割を果たすようになります。他方、ヴィルトゥオーゾたちは実に様々な立場から理念的な編曲の可能性を追究します。自由な想像力の発露としての編曲(シューマン、リストによる、パガニーニのカプリースに基づく練習曲)、テクストへの忠実性と音色の可能性を同時に追求する「ピアノ・スコア」としての編曲(リスト、アルカンの古典作品の編曲)、自由に声部を創作する編曲(サン=サーンスのバッハ編曲)、「編曲」を組み込んだ変奏曲(ヘラーのベートーヴェン変奏曲)、等々。敢えて他者の楽想を用いることによって生み出される意味とは何か。これらの例を通して編曲の創造的意義を問うてみたいと思います。


講師:上田 泰史 先生 略歴

金沢市出身。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学修士課程修了後、博士号を取得。2010年から2012まで日本学術振興会特別研究員(DC2)を務める。2010年に渡仏、2013年パリ第4大学音楽学修士号(Master2)取得、2016年、博士号(音楽・音楽学)を審査員満場一致で取得。これまでにカワイ出版より校訂楽譜『アルカン・ピアノ曲集』(2巻,2013年)、書籍『チェルニー30番の秘密--練習曲は進化する』(2017年)、『パリのサロンと音楽家たち』(2018年)などを出版。日本音楽学会、地中海学会会員。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会正会員。東京藝術大学楽理科非常勤助手を経て、2018年4月より2021年3月まで日本学術振興会特別研究員(SPD)。現在は19世紀から20世紀中頃にかけてのパリ国立音楽院試験における演奏曲目や、ピアノ演奏様式について研究中。これまでに、在学中に安宅賞、アカンサス賞受賞、平山郁夫文化芸術賞を受賞、日本学術振興会より育志賞を受ける。


参加方法

「今すぐ購入」ボタン(PayPal)より、開演一時間前までにお支払いください。

PayPalにご登録のメールアドレスにteiensogakuよりzoomイベントのURLをお送りします。

Paypal以外のお支払いをご利用の方は、【銀行口座への振り込みをご希望の方へ】をお読み頂き、そちらに記載されている口座よりお支払いください。

<注意事項>

PayPalご登録のメールアドレスとお名前に誤りの無いようご注意ください。また、最下部の「受講に際してのお願い」を必ずお読みください。

お問い合わせはteiensogaku@gmail.comまでお願いします。


【PayPalでのお申し込み】

▷一般 2,000円


▷学生 1,000円


【銀行口座にお振り込みでのお申し込み】

銀行口座への直接のお支払いは、以下の口座へお願い致します。

PayPay銀行(ペイペイギンコウ、旧ジャパンネット銀行)  

店番号005  ビジネス営業部支店

普通預金  口座番号3637511

また、お振込み頂いた際にteiensogaku@gmail.comまでお知らせ下さい。こちらで振り込みの確認をさせて頂き、当日の1時間ほど前にお知らせ頂いたメールアドレスへzoomのアクセスリンクをお送り致します。以下の「受講に際してのお願い」を必ずお読みいただき、ご参加ください。


----- 受講に際してのお願い -----

1. 主催者はカメラをオンにして参加する予定ですが、それぞれご事情もあると思いますので、カメラをオンにするのが難しい方はオフでも構いません(音声だけ参加も可)。ただし、お名前は実名表記でお願いいたします。ペンネーム等での参加は認められせん。

当日のイベントの様子は主催者が録画し、後日編集の上配信する予定です。ご参加の際、ご自身の顔などを映したく無い方は、カメラをオフにするなどしてください。

2. 今回はレクチャー形式になりますので、質問のある時以外は、設定を「ミュート」にして頂きますようお願いいたします。レクチャー後半に質疑応答の場を設けますのでその際に、ご発言頂けますようお願いいたします。

3. 会の運営にあたり一般的なマナーをお守り頂ける事を前提としております。暴言や他人を攻撃する行為等、会の運営を妨害していると考えた際には主催者により退室して頂くこともございますのでご了承ください。

庭園想楽

庭園想楽は、日本庭園の精神である不易流行の思想から着想した、未来につながる音楽を創造するために様々な事柄を学ぶための場です。 過去の音楽芸術の研究や、作品の制作、演奏実践等を通して今日の音楽の在り方について問い直していきたいと思います。 また「庭園想楽」に関わる人々が、それぞれの視点から音楽やその他の芸術に関わる美について考え、議論を通して新しい世界を生み出すことを目的としています。